
7月になると、京都の町に溢れる祇園囃子。でも大半は録音されたもので、生の演奏は宵山にならないと聴く事は難しいです。しかし、運が良ければ今でもそれを聞くことが出来る場所があります。その場所とは八坂神社の斎殿。境内の東南隅にある能舞台と繋がった建物です。
丁度今頃、この場所で祇園囃子の稽古が行われる事があり、たまたまその場に居合わせると一足先に祭りの雰囲気に浸る事が出来ます。大抵の場合夜である事が多いですけどね。
一口に祇園囃子と言っても鉾や山ごとに独自のものがあり、さらにその中で巡航の行きや帰りといったシチュエーションに応じて、何十通りもの曲があります。ですからちょっと聞いただけでは、どの鉾のどういう時のお囃子なのかは全く区別が付きません。全部把握している人って、居るのかしらん?
お囃子の編成はごく単純で、「コンコンチキチン」と最も良く聞こえてくる鉦、主旋律を奏でる笛、そしてあまり聞こえて来ないのですが、リズムを刻む太鼓の3つで成り立っています。では、この中で一番重要なパートはどこかというと、実は一番目立たない太鼓なんですね。一度お囃子が八坂神社で奉納されているところをじっくりと聴く機会があったのですが、全体をリードしているのは笛でも鉦でもなく、太鼓のリズムでした。微妙な間の取り方やテンポの変化によって、鉦や笛の調子を巧みに操っているのですね。そして場合によっては太鼓の方が、目顔で各パートの入るタイミングを指示しているのが判りました。おそらくは全体で最も技量に優れたベテランが、太鼓役を任されているのでしょうね。祇園囃子は一見単純な様に見えますが、実は結構奥深い世界の様です。
上の紫陽花は、斎殿の前で咲いていたもの。上品な紫色がいかにも京都らしい風情を感じさせてくれます。この紫陽花が終わる頃、祭りは最高潮を迎えます。